2013年3月15日金曜日

Nobility 

直木賞作家、北原亞以子さんが死去されたとのこと。

ブログで書いて善いのか迷ったけど、
こんな別れ方があったこと、
その散り際の潔さにボク自身胸が一杯で、、、

先週の金曜日、亞以子先生から、
「以前、小野さんからいただいたカリン糖が食べたいの」と電話をもらった。

必ず日曜日にお伺いいたしますと約束し、
二日後の日曜日、お茶の水の大学病院まで会いに行ってきた。
編集者さえ男性は入室させないとのことでしたが、
ナースさんに案内され病室に。
元々小柄な亞以子先生ですが、闘病のせいか一段と小さくなられていた。

二人だけの病室で、正直何を話せば良いのか分からなかった。

吉川英治文学賞の受賞パーティの時のこと、
一緒に鰻を食べに行ったあの日のこと、
懐かしい思い出を、一人笑いながら喋ってしまったボク。



先生は命の残り時間を知っていたのでしょう。
「黙って行ってしまおうかと思ったけど、きちんと御挨拶だけはしたかったから、、、」と。

被せるように「今度は先生の好きなお鮨を持ってくるからね」と言い、
「ではでは」と扉を閉めました。



豆腐屋とお客さまとして始まったお付き合いでしたが、
こんな豆腐屋風情に、亞以子先生、長い間ありがとうございました。

ただただ寂しいです。




読売の朝刊から、
<<江戸情緒あふれる文章で、
   市井に生きる人々の哀歓を浮かび上がらせた作家・・・>>

 

3 件のコメント:

彦十 さんのコメント...

先輩方は、人生の素晴らしいお手本ですね。なごり雪さんの文章を通じて、北原さんがとても素晴らしい先輩だったと知りました。

よいお付き合いだったんですね。

合掌

なごり雪 さんのコメント...

彦十さま

こんばんわ。

日本人としての生き様、
いやはや人生の先輩のこれ以上の無い散り際、
潔いって云うか・・・・・

本当に、たくさん教えていただきました。

なごり雪 さんのコメント...

Takashi Moriedaさま

お久しぶりです。

今回、北原先生が一番会いたかったのは、
岡山のY氏だと思いますよ。

たまたま偶然に上京されていたことと、
意を決してボクが電話できたこと、
不思議な偶然の連続が、
結果的に良かったと思えます。

森枝さん、ボクも逢いたいよ。