朝ドラ【おちょやん】のモデルは浪花千栄子さんで、その亭主だった二代目渋谷天外(朝ドラの配役は成田凌さん)の奉納絵馬を入手したのね。もうだいぶ以前のオークションでしたが、当時の有名人の絵馬が数点出品されてたのです。ボクの目当ては日本画家の上村松園(あの『序の舞』の)の絵馬だったのですが、さすがに松園でございます、絵馬でも素晴らしい作品でねぇ、残念ながらみるみるうちに値が跳ね上がってしまってボクの予算の圏外になってしまいました。「しょーがないや、なんでもいいから一点買っておきましょう」と落札したのがこれだったのね。
自分たちで旗揚げした劇団の、それも千栄子さんが可愛がってた若手女優に手を付けた天外さん。いつの時代もしょーもない漢はいるものでねぇ、子供が出来たことで身を引いた千栄子さんの思いを考えると、この天外自筆のでんでん太鼓に『子孫繁栄』はちょっと気分は複雑かな。
離婚後、千栄子さんが営んでいた京都の旅館の踏み石の裏には天外の名が彫ってあったとか。出入りする人間皆に、天外を踏みつけてもらいましょう、ってか。
品のある婦人も筋金入りの花街のやり手ババァも見事に演じる千栄子さん、現実よりリアルなのに、しゃしゃり出ないその演技に魅かれて早半世紀でっす。