2022年3月27日日曜日

Yasukuni's mother

早朝にお袋を車に乗せて観桜に。高戸橋から明治通りを右折して学習院女子の桜花を左手に、新宿二丁目を左折で上智の土手をチラ見しながら半蔵門に行き当たる。そこから満開一歩手前ながら桜花の大洪水な英国大使館と千鳥ヶ淵まで。靖国神社に車を棄てて母を車イスに。

♬東京だよ おっかさん・・・♬

「お袋との観桜は今年が最後かな」と想いつつも十年が過ぎ、90歳でますます元気に。ニトロペンをピルケースに持ち歩くボク、ときどき舌下で服用しながら「こっちが先じゃヤバいよなぁ」と、散り行く神池の花筏に我を勝手に映したりして、へへっ。

桜花の潔さ、日本人の美学だねぇ。




2022年3月21日月曜日

Nostalgic

豆腐屋に対するイメージは、一般人もマスメディアも今だ昭和なんだよなぁ。先日もテレビ局からの取材前リサーチで、話をしてみると豆腐屋に求められてるのは昭和の風情なのがよく分かります。「オープンエアーでのぼりを立てて、人情商店街で頑張る庶民的な豆腐屋さん」「寒い冬、朝早くからガンバル豆腐屋さん」な景色が欲しいみたいです。なんで豆腐屋の時代背景だけが「あしたのジョー」とか「ハリスの旋風」になっちゃうのか?よう分からんわ。


ちょーっと前のことだけど、政府系のお堅い雑誌『FRONT』(発行・財団法人リバーフロント整備計画センター・現廃刊)で数頁の取材を受けたことがことがあるのだけど、その号の表紙がこの豆腐屋さんだったのね。(誤解をしてほしくはないのだが、この豆腐さんを悪く言ってるのではありません)ただかなりレトロで、昭和も20~30年代にタイムスリップしたような写真です。取材当時でもかなり稀有な店舗ですね。(現在は廃業されてます)
そしていちばんの不誠実は、表紙だけで内容には一切この豆腐屋さんが掲載されてないことです。発行が発行だけに「水と豆腐の関係」の特集なのにね。

編集者の豆腐店に対するイメージがよく伝わる表紙です。

昨今はニューヨーク「デリ」と見間違えるような無機質なショップやギャラリー展開のTofu店も現れてきましたが、その若い同業者が皆口をそろえて言う。「豆腐屋がこれではダメ」と古くからのお得意さまが来なくなってしまった、と。

京都で痛感することに、あの老舗の多数が商売に胡坐(あぐら)をかいていないこと。奈良漬けの大老舗『田中長』さんのレーズンサンドの奈良漬けバージョンは新しい逸品と思う。他にも菓子司の展開には目を見張るものがある。それこそ旧い逸品だけで勝負してきた老舗も展開が激変しているもの。またそうしないと終わってしまうのも事実ですしね。ただし単なる企画モノですまないのが古都の老舗の底力なのだろうけど。

「前例無し」を表現すれば軽く見られてしまうけど、「ものづくり」はそんな簡単なものではない。

「豆腐はこうでなければダメ」「豆腐屋はこうでなければダメ」

アホっくさ。

なんてね、深夜に少々調子乗っちゃって・・・・・

2022年3月18日金曜日

Amber

植込みの山桜桃(ゆすらうめ)が咲きました。まだ芽が出たばかりだったのに、ここ数日の暖かさで先ずは先端の三花が。なんだか嬉し。

先日書いた「限りなくアクアな豆腐」を4月1日から販売いたします。
二枚目の写真の容器で極小3丁入りです。極小2丁で一枚目のナンシーのロックグラスの写真で、生砂糖(大阪・鴻商店)の蜜は別添えであります。1~2時間のうちに食べちゃってね。数時間後には水にもどりますので。素材は大豆と水で、その清涼感は瞬間で消えて無くなります。

よろしかったらドーゾ!




2022年3月16日水曜日

Tomoshibi

同世代の友人知人と話をすると、皆がつねに薬を複数服用してるらしい。血圧だったり血糖値や尿酸値だったり。そーゆーボクも、(ヘヘヘッ)ただ今一日5錠のお世話になってます。これからの人生は薬に守られて生きてゆくのだろうね。身体は元気で頭はボケボケな老人にはなりたくはないけど、そればっかりは分かりません。子供の頃に夢見た(自分の)未来とは違い、還暦過ぎに想像する己の先々、考えれば考えるほど恐ろちぃ。

まーね、どこまでいけるか分からんけど、やったるでぇ・・・


階段の照明をこっちに変更いたしました。先日の横広がりから小さめのペンダントに。夏に向かい寒色系を選択しました。これも仏國製のアンティークだけど、不思議と日本家屋にも馴染んでくれます。心地よい階段となりまして、上がるも下がるも嬉し愉しです。

2022年3月15日火曜日

Sunday

日曜日に新橋の『しみづ』で漢(おとこ)独り鮨をしてきたんだけど、 銀座の人出はコロナ禍以前のように混雑しておりました。オミクロンの感染拡大が理由でホコ天も中止なのかな?でもいつも以上に歩道は人で密集してまして、その光景に「もうマン防は止めてもいいんじゃね⤴」とボクは感じましたけど。

松屋銀座で購入する九段『ゴンドラ』のパウンドケーキがボクの定番だったのに、売り場が和菓子の『虎屋』がプロデュースの新生(と言ってもだいぶ経つ)『ルコント』に代わってしまってた。
『ゴンドラ』は日曜定休なので、日曜定休のボクは新橋の『切腹最中』同様ここで買ってたんだけどなぁ、残ネ~ン。

ルコントが虎屋とはねぇ、、、70年代、、、隔世の感、、、


最近購入したデッドストックで大正末期~昭和初期のノリタケのケーキ皿に。(5枚で¥1,980)

2022年3月12日土曜日

Yin&Yang

コロナ禍が生活を一変しました。それとも年齢のせいかな。外食や外呑みもしなくなり、ほぼ毎日自宅で過ごしてます。コロナがただの風邪になってもきっとこのままなんだろね。ヤバいよなぁ、欲求が無くなっとるよ。


書斎への階段の電笠を古渡のモノに替えてみる。選んでおきながら、やはりこの家に仏國のアンティークは違うかな、と。数日内にまた替えます。

ここ数年は雑誌も書籍も買わないことにしとります。塵も積もれば山となり、なんど崩落したことか。
でもまた¥2,400で古書を買う。1984年発刊のアールデコ期の写真集&解説書であります。英語も分からんのに独逸語なので何が何だか。無駄も愉し。やっぱりボクは矛盾ばかりです。



2022年3月4日金曜日

EISEN BLUE

絵師・渓斎英泉の浮世絵『仮宅の遊女』の英泉Blueにインスパイアされてこんな木綿豆腐を。

闇の夜や 吉原ばかり 月夜哉  (其角)


バタフライピーはありがたい。天然系食品用色素なのに群青から鮮やかな赤紫まで何でもござれだもの。「せっかく闇を表現するのだから、味覚も風味も闇の世界にお連れ致しましょう」と企んでみた。サマローリのラフロイグを凝固寸前に豆乳に流し込む御法度を。
あら不思議、アイラモルトと言うより正山小種(ラプサンスーチョン)な薫香でありまする。

もう二(ふた)昔も前のこと、Yマスヒロ氏(レストラン評論家)が来店時に豆腐にシャルトリューズを流し掛けしたことがある。「日本人は豆腐なら醤油か味噌かせいぜい塩だけど、小野君ならこれをどう想う?」と問われた。まったく不自然さは感じなかったけど、当時のボクには意外な味覚でしたから、口ごもってモゴモゴと。そしたらYマスヒロ氏、「ボクは上等なデーセルに思うけど」と言われた記憶があります。
今想う。豆腐に対する概念に、誰よりも頑なだったのは豆腐屋自身かもと。

豆腐を遊べ。

この豆腐なら白和えならぬ呉須和えかな。適量のオイル漬けアンチョビとニンニクを擂鉢に当て、豆腐を足して塩味も少々、好みでペンチで潰したペッパーも。そして粗めにおろしたミモレットを降らします。

ご興味のある方はビスポークでどーぞ。最少ロットは30丁となります。なんなら立待月でも描きましょうか。






2022年3月2日水曜日

Modernism

たいして忙しくない3月です。っつーか、お得意様の飲食店様も皆休業中で、早い話お閑(ひま)ってことですね、残~念。豆腐屋は補助金無しの切り崩し生活ですから、騒いだところでどうにもならないので倹約質素にやっております、ハイ。


今宵は静かに珈琲とどら焼きで。へへっ、休肝日です。友人の篠ちゃんから金沢『吉はし』製のどら焼きを頂戴つかまつり。なかなか入手出来ないらしいのに、サンキュです。フォアグラ化している肝臓も喜んどります。






オークションで探してた詩集を入手できました。戦前 の大正13年に刊行された後の俳人 長谷川春草の詩集『水のふるさと』なのね。日本的な少々ウェットな大正モダニズムな詩と、小林かいちの作風に似た村上唐犬の挿絵がナイスにマッチしとります。浅草が舞台の詩も複数あり、情景的に成瀬巳喜男監督の初トーキー映画、『乙女ごころ三人姉妹』(原作・川端康成)が思い浮かびました。

内容はねぇ、想像していたよりも薄いかな。『金子みすゞ』や『村山槐多』ではないが、百年経って残るモノと忘れ去られるモノの違いでしょうか。(だけど値段はそこそこいっちゃうけど)

やはりこの人と言ったら、45歳での辞世の句『すずしさや 命を聴ける 指の先』が強烈に印象にあります。