2023年3月29日水曜日

Youbi

千度生まれ変わっても超えることなど出来ぬ人であります。最初に頂いたお手紙はお軸に仕立て、私にとっての仕事、また人生の道標として常に視線の先にあります。ご縁がありまして、四半世紀からお世話になってる方がいます。大阪の器屋『ようび』の主である眞木 啓子様であります。

一昨日のこと、眞木様の関係者の方が訪ね来てくださり、上梓されたばかりの書籍『ようびの器』を頂戴しました。受け取った掌に重さを感じ、めくった頁のその重さは『ようび』の半世紀の想いであることに気付きます。

息をのんだ。













2023年3月24日金曜日

Kyūen

豆腐屋殺すにゃ刃物は要らぬ、雨の三日も降りゃあいい。それなりに暑いか寒いか、中途半端に暑かったり寒かったりが豆腐日和じゃないんだね。そんな雨の日に暖簾をくぐってくださったお客様、心中で思いっきりハグしてます、ハイ。


(昨夜の話)目が覚めたらまだ今日でした。仕事が終了し、母への介護飯を届けたら寝てしまった。何もせずに今日が終わったらつまんない。けど、まだ今日ですから呑むことに。呑まなきゃ今日が終わらないもの。頂き物の甲子園(西宮市)の銘菓をつまみに呑む。ボクの酒歴で言わせてもらえば肴は塩味だけじゃない。とくにモルトやウヰスキーには、練り上げた糖味が酒の豊潤さを高めます。甘露な琥珀を呑んでごらん、酔いが早くまわるから。




2023年3月19日日曜日

WAMU

またまた月一での赤坂詣(豊川稲荷東京別院)後は、『VIRON 丸の内店』でのバゲット購入ついでに東京フォーラムでの骨董市によってみる。かなり外国人率高しで、欧米人が「そんなモン買ってどーすんの?」って聞きたくなるようなモノをぶら下げてます。チャイニーズもたーくさんおいでになってますが、彼らの興味は自国物(転売用に買戻し)らしく、手ブラで不満足そうにしとります。

購買欲はあるのだが、出遅れが響き自身の琴線に触れる品が無い。「築地宮川本廛(松屋銀座8F )で鰻でも食って帰るべ」と出口に向かうと、HOゲージの鉄道模型が視界に。べつだん欲しくはなかったが、「スリーサウザント、OK?」と店主に問いかけられた。なんとなく話に乗って外国人をやってみる。この人にはいったいボクがドコの何人に映ってるのやら、最後までボクにも解る英単語なのがありがたい。少し愉しませてもらったので、ご購入。あーあ、また要らぬモノが増えてしまった。写真②がその店主です。自分から「(写真)OK」と。




2023年3月18日土曜日

Shitsurei


コロナ禍では嫌がられるのではないかとはずしていた暖簾でしたが、終息を感じ始めて復活をいたしました。店主としては、やはりお客さまには暖簾をくぐっていただきたいものです。
京都の染屋「染司よしおか」さんから新しい暖簾が遠来です。今回は『源氏鼠』でお願いいたしました。秋冬用であります。以前の茶の木綿と柿渋の二垂れに擦れが出てしまいまして、秋冬用はそれこそ二十年ぶりに新調いたしました。夏用の麻の上布はすでに数代目ですが、木綿は西日にも強くまだ三代目であります。
ところが届いてみたら桜花の季節で暖かい。留守の間に仮に下げていた上布の暖簾ですが、そのまま初秋までいくことに。ってことで、まっさらは棚奥でもうしばらくお休みに。


ついでに今年も階段の電笠を暖色から寒色に。仕事の合間にデンと尻を置き、一息入れるボクの休憩場所であり、またグラス片手で座するBARでもございます。ゆえにわが家でいちばん心が落ち着く照明としとります。んで、去年と同じ。



2023年3月15日水曜日

Seiōbo

暖かくなりまして、久しぶりに昭和7年生まれの母と車椅子を乗せて外出を。いつもの都心散歩はやめて、めずらしく東北道を北に向かう。沿道の梅花は盛りですが、まだ新緑は無し。でもあと一週間もすれば芽吹くかな。そんな城下町から下道を南下するコースで。ここ数年はコロナ禍で外出も少なかった母、車窓からの景色だけでも喜んでくれる。網羅した情報の中からポイントごとに下車をしながら、ゆーっくりと田園風景に中を走る。

鄙にも稀な御菓子司にて菓子を買う。帰宅後に、母と同じ昭和一桁(1930年代)生まれのケーク皿に上生菓子を乗せる。三月だから『西王母』と『貝尽くし』で、バウハウスっぽい東洋陶器製とデコったノリタケ製に。当たり前な器の絵面より、意外な組み合わせの妙を愉しみます。茶を点てるのが好いのだが、さすがに疲れて硬質な光悦でお許しを請う。




2023年3月12日日曜日

Natsuhakinu

一気に初夏の陽気となりまして、年明けから閑散期でありました商売も今日は少々の花めきに。

晩酌はロックで、大切にしている頂き物のグラス(※)にはリンクウッド。肴代わりに白米に塩鮭。還暦過ぎて頻度は減りつつも外食は「ハレ」として十分愉しみ、「ケ」にあたる普段の食生活はどんどんシンプルになります。基本、お新香と玄米もしくは白米があれば好いのだが、いちおう豆腐屋なのとカミさんの実家が豚肉問屋なのでその類も摂るように。良き素材や加工品をありがたく頂戴します。意識してるのではなく、年齢で食は細くなるのだね。ここんとこ「また痩せましたね」って方々で言われるけど、10キロ落ちてからは変わってないのだが。シワが増えただけ。
本日は『針江のんきぃふぁーむ』さんの滋賀旭27号に好物の西宮『清左衛門』さんの鮭茶漬けを数片乗っけて、赤杉利休に器は益子の高内 秀剛氏の黄瀬戸の飯茶碗で。へへっ、かなり贅沢なんだけど。

気が付けば今年も山桜桃(ゆすらうめ)が咲きました。




※催事にお出でいただきありがとうございました。

2023年3月7日火曜日

I truly appreciate that.

昨日の仕事中、豆腐の包装機がハネてしまいました。すでに廃業されている製作所製ですので、部品探しなどで修理に2~3日かかるとのこと。致し方なく製造途中の豆腐はすべて廃棄となりました。本来ならその悲劇に落胆するトコなのに、ボクは安堵で身体中の力が抜けてしまいましてね。なぜならその数時間前に、最終日の新宿高島屋様への催事の荷を見送ったばかりでしたので。神棚に向かい、またわが家の八百万の神様に、明治生まれの遺影の中の祖父母たちに、そしていちばんは包装機に「催事期間中に止まることなく、ありがとうございました」と深々と。そんなことってあるのだね。

無事催事が終了いたしました。
初日は「六日間がどうなることやらと」と眼の下にストライプ(クマ)が走る展開、販売する次女夫婦はよく押しつぶされることなく乗り切ってくれました。二日目、三日目と周りのベテラン出店者の皆さまに助けられ、また日を追うごとに増えるお客様と友人知人たち、おかげさまでしり上がりで寿、思いもよらなかった嬉しい結果となりました。

63歳、まだまだやれる。
I truly appreciate that.