2022年5月29日日曜日

Ulysses


「齢90はコロナが治まるまでは家でテレビでも見てなさい」で過ごしてきましたし、またコロナ禍を理由にこちらのペースで毎日を乗り切って来れました。母の介護の話です。それでも時々はドライブぐらいは連れては行きましたがね。
元来、自己愛の強めの母でございまして、故にストレスなのでしょうか?日々ヒステリックグラマー化しとります。んで、昨晩は仕事終了後に母のストレス緩和に尽力を。

車イスと母を車に乗せて日本橋へ向かう。首都高五号線が少々渋滞気味でしたが、高島屋の閉店25分前に新館の地下駐車場にすべり込みセーフ。んで、車イスに乗せて地下食料品売り場に。「なんでも食べたいものを言って」と母に振れば、ウエストのドライケーキと虎屋の羊羹に、メゾンカイザーのパンと野田岩の鰻etc.と欲望は尽きることのない母でございました。閉店の音楽とともに日本橋を後にして新宿に向かう。

せっかくだから、ボクが新宿のユリシーズだったころの街を車イスで疾走することに。

伊勢丹などは置いといて、倅のボクでさえ現存の記憶の景色は「どん底」「DUG」「紀伊国屋」ぐらいなのに、母の知ってる昭和の新宿は記憶が蘇るきっかけさえ掴めぬようでした。「新宿コマ劇場」の今の姿に驚き、歌舞伎町も二丁目でも行き交う若者に異次元を見ているようです。
それがですね、「ちょっと刺激が強かったかな」は杞憂で、彼女なりに面白がってくれたのが幸いでした。

母、『新宿の女』となる。



2022年5月25日水曜日

Hallelujah


子供の頃のこの季節、お隣さんのユスラウメ(山桜桃)が真っ赤な実をたわわにに実らせて、ボクは余すことなく貪り食った記憶があります。ただ、55年前にお隣さんは引っ越してしまい、それ以後はユスラウメが幻の果実となってしまいました。どうしてもあの懐かしい味覚をもう一度と、三年前に苗木をネットで買って鉢植えに。水を与え肥料を与えての三年間、そのユスラウメの実が今赤くなり、口に放り込みながら記憶の確認をいたしております。子供の頃(記憶の中)のユスラウメはもっと美味しかったような、、、いけませんね、そんなバチ当たりな言動は。55年ぶりにありがとう。


なんだろうねぇ、昨今流行りの映え(バエ)系とは対極の和菓子なんだけど、それ以上に心象風景が目に浮かぶ菓子なんだ。岡山津山市、鶴聲庵の『千本桜』。千利休好み、麩の焼に通ずるような菓子で、ボクも無言で語り掛けながら、また菓子からも語り掛けてくるような佇まいがあります。個人経営の小さな小さな御菓子司ですから、櫻花の季節は地元消費でお取り寄せは無理です。んで、ボクは季節を外して取り寄せる。まったくの無添加故、日持ちは数日で。届いた最初は茶を点てて、宵は酒のアテとして愉しみます。


東京芸大で同期なのかな。「千本桜」は三上 亮の梅花皿に置き、山桜桃(ユスラウメ)は白石 和宏の蹲(うずくまる)に挿す。同時期に現れた天才でしたが、白石さんは1996年に38歳で夭逝された。94年7月の最後の個展・東銀座「工芸 今」にて蹲がボクの元に。



   

2022年5月18日水曜日

Old photograph

奥歯のクラウンがとれてしまいましてね、さすがに限界かなとなり抜歯してまいりました。以前「小野さんの歯は根がしっかりしてますから丈夫ですよ」とお墨付きをいただいてはいましたが、さすがに終わる時は終わるんですね。丈夫ゆえに抜くのも手間取りまして、30分は口を開いたままでした。まぁね、何度やっても怖いのは歯茎への注射(麻酔)で、刺さるあの感触は腕への採血の針より数百倍嫌なモンです。抜歯した根っ子に、多少の歯茎のお肉が付着していたのにも心中で思わず「ぎゃっ!」と。

野球のボールを顔面キャッチで前歯を折り、半世紀前の差し歯からお世話になっている歯科医の先生です。その差し歯は今も上アゴと一体化したままなんの支障もございません。S先生、さすがです。


クレゾールに匹敵するようなヨード香に精神まで殺菌されていくよーな気分です。
普段呑み用の強烈ピート香アードベッグで消毒がてら、昔の気の強そうなおなごさんとサシで呑む。
骨董屋で何気に手にした古寫眞に魅せられましてね。明治後期に麹町三番町、市川寫眞館(寫眞師・市川慎一)撮影による。
キリっと太い眉に大きい瞳、鶏卵紙寫眞コレクターのボクの収集品の中でもこんなタイプは初めてです。明治時代の男前女史でございます。
二百三高地な束髪に矢絣と女袴、「花子とアン」と同時代の女学生かおなご先生か?

この娘(こ)、どこのどんな娘(こ)で、どんな人生を送ったのだろうな、、、
これもひとつの歴史浪漫、、、







2022年5月15日日曜日

Hinata hinata


数か月ぶりに同業者の友人と呑むことに。新宿伊勢丹で鮨店の主と友人の手土産を買い、タクシーで神保町に向かう。それにしても新宿駅も伊勢丹も大混雑の土曜日です。スズラン通りで探していた画集を購入し足早に。落ち合う店も予約で繁盛してまして、先客が退店するまで外で待つことに。そんなこともなんだかか嬉し、コロナ禍も終わりに近づいたのかな。
油断をするわけではないが、人気のない裏路地は顎マスクで深呼吸をしながら、ってな感じで。


ところでその同業者の友人が「お取り寄せ詐欺」被害にあったそうで、能登の警察署から被害届提出の連絡があり被害に気付いたそうです。そして詐欺師を検索したら、小野さんのブログが出てきたってカミさんが言ってましたけど、と。


なんテェこったい、同じ詐欺師に引っ掛かった同士でした。
世間の狭さを思い知らされた夜になり、ふたりで大笑い。

最終列車に飛び乗り川越に。







2022年5月7日土曜日

KISS

暇なもので、部屋の大掃除を決行したら下手こいてしまった。コレクションボードの前面ガラスを割ってしまったのであります。ボクが掃除をすると、決まって何かが壊れてしまうのだね。

63年間、触るモノ皆、傷つけてまいりました。



連休もいよいよ終わります。久々に豆助と『ぽん多 本家』に行くことに。
「ぽん多に行くのなら、鱚(きす)フライ食べなきゃ」ってフード系ライターや料理人によく言われていました。なのに縁が無いっつーか、ボクが行く日のメニューでは毎回欠品だったのね。確かに先日お邪魔した鮨店の主が、「今年は鱚(きす)が河岸に無いんだよ」って言ったいたっけ。

♬夢で鱚 鱚 鱚  鱚鱚 鱚 いつでもいつまでも キラめく様な 甘い・・・・・・♬

ここではカツレツよりエビフライよりポークソテーより高額で、「時価」のアワビに次ぐ高級品の鱚がこの日はあったのだよ。まずは鱚、あとは蛤のバター焼きとポークソテーの3皿を2人でシェアすることに。赤だしと白米と漬物もとーぜん。
大倉陶園の皿に鯵フライ並みの大きさで3枚、食い慣れた天婦羅屋の鱚からは二回り半の違いかな。塩だけで頂戴する。

来週から普通営業に戻ります。豆助はピッチ走法のボクはストライド走法で、八月の盆休みまで頑張ります。











2022年5月3日火曜日

Nagomi

旅行に行く次女を東京駅に送った以外は家で籠っております。今回のゴールデンウイークは制限無しってことで、関越も首都高も大混雑です。べつだん予定も無しの一週間、書斎で大人しく過ごします。

酒はある、いくらでも。







2022年5月2日月曜日

Myōjō

     

高校のクラスメイト(♀)に「コロナも落ち着いてきたから、皆でカラオケでも・・・」と誘われました。

嫌いではないけれど、30代以降は滅多にカラオケはやりません。
それでも唄えと言われたら、十八番(オハコ)は三上寛ヴォイスで唸る伊藤咲子の『乙女のワルツ』か、山崎ハコではなく北原ミレイヴァージョンの『白い花』とかね。男歌なら小林旭の『夢の中』かな。ここは意外にこだわりもあったりして。
晩酌のBGMに、たまーに聴きたくなるのも昭和歌謡とか演歌なのね。



1967年蒸留のカナディアンウイスキーを呑みながらフっと思う、「あの頃、8歳のボクは何をしていたかな?」と。んで、コレクしている当時の古雑誌を引っ張り出して振り返ることに。
ひとつ言えることは、この時代のヒット曲はぜーんぶ歌えるのだよ。

※カナディアンウイスキーは、古酒でも2~3,000円だよ。


裏表紙はその時代を反映させてるコカ・コーラ社で、若大将シリーズで大人気だ加山雄三氏です。