古道具商から、正月の白味噌雑煮用の椀を十客購入をする。家庭用なので、ゴージャスな蒔絵や沈金は無しと言うことで。木地は欅(ケヤキ)で黒と洗朱の漆でシンプルな仕上げとなっており、デッドストック同様な無傷な超美品であります。雑煮用ですのでそこそこの大きさと深さが欲しい、けど合鹿椀では大きすぎる。運よくジャストなサイズが視界に入ってくれました。箱書きには明治二十七年に販売された旨が記されてまして、今から130年前の御品でございます。
骨董漆器は、同じ椀でも使用頻度によって古色をおびたものから箸疵ひとつ無いモノまで様々であります。長い時を使われることも無く、見立てはしたが蔵奥で眠ったままのモノも多いのね。ボクは使い込まれてる風情も好いけど後者の方を選ぶかな。こーゆー場合、だいたい現代作家さんの椀一客分で十客買える換算で、ってな感じです。
本物の木製漆器で食すこと、漢の贅沢な嗜(たしな)みでございます。漆器入門編としたらこんな入手の仕方もあるけれど、大切なことは眼識でありまして、なんてね、へへ。
大七酒造の酒粕がありますので、今回は粕汁を。ボクは辛口の熟成鮭を焼いて乗せ、身をほぐしながら食すのが好きであります。