2023年12月12日火曜日

HANN

落語家さんが「廓(くるわ)話は現代人では情景が浮かばないからやりづらい」って言っていた。たしかに赤線の廃止はボクが生まれる前年の昭和33年だもの、花柳界はあったけど遊里の情景は浮かびません。なんとなく思い描くのは、後々の邦画や時代劇での知識ぐらいかな。近所には旧赤線があったし、元芸者さんや元廓出身の女性はいましたけどね。まさかねぇ、聞くわけにもいかねぇし。

ここんとこ母の介護がありまして、一泊旅行さえ行くことは控えております。んで、夜が長い。ゆえに読書など。古書店で武原はんさんの書籍「のちの雪」を入手する。自伝的随筆ですので時代なりの苦行や理不尽を想像していましたが、前半は当時の花街での生活がファンタジーのように描かれております。装幀ははんさんのお着物からとか。



三十代後半から五年通った浅草の長唄のお師匠さんを思い出す。よく「はんさんとまり千代さんは別格だったのよ」って言っていた。まり千代さんは新橋花柳界の名妓の方、はんさんはもちろん武原はんさんですね。14歳で芸者になり、20歳まで大阪宗右衛門町の大店(おおだな)大和屋に。後にあの青山次郎の後妻となった女性(ひと)。軽々しく言わせて頂けば、この方の地唄舞こそ至宝であります。

    

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