2022年3月21日月曜日

Nostalgic

豆腐屋に対するイメージは、一般人もマスメディアも今だ昭和なんだよなぁ。先日もテレビ局からの取材前リサーチで、話をしてみると豆腐屋に求められてるのは昭和の風情なのがよく分かります。「オープンエアーでのぼりを立てて、人情商店街で頑張る庶民的な豆腐屋さん」「寒い冬、朝早くからガンバル豆腐屋さん」な景色が欲しいみたいです。なんで豆腐屋の時代背景だけが「あしたのジョー」とか「ハリスの旋風」になっちゃうのか?よう分からんわ。


ちょーっと前のことだけど、政府系のお堅い雑誌『FRONT』(発行・財団法人リバーフロント整備計画センター・現廃刊)で数頁の取材を受けたことがことがあるのだけど、その号の表紙がこの豆腐屋さんだったのね。(誤解をしてほしくはないのだが、この豆腐さんを悪く言ってるのではありません)ただかなりレトロで、昭和も20~30年代にタイムスリップしたような写真です。取材当時でもかなり稀有な店舗ですね。(現在は廃業されてます)
そしていちばんの不誠実は、表紙だけで内容には一切この豆腐屋さんが掲載されてないことです。発行が発行だけに「水と豆腐の関係」の特集なのにね。

編集者の豆腐店に対するイメージがよく伝わる表紙です。

昨今はニューヨーク「デリ」と見間違えるような無機質なショップやギャラリー展開のTofu店も現れてきましたが、その若い同業者が皆口をそろえて言う。「豆腐屋がこれではダメ」と古くからのお得意さまが来なくなってしまった、と。

京都で痛感することに、あの老舗の多数が商売に胡坐(あぐら)をかいていないこと。奈良漬けの大老舗『田中長』さんのレーズンサンドの奈良漬けバージョンは新しい逸品と思う。他にも菓子司の展開には目を見張るものがある。それこそ旧い逸品だけで勝負してきた老舗も展開が激変しているもの。またそうしないと終わってしまうのも事実ですしね。ただし単なる企画モノですまないのが古都の老舗の底力なのだろうけど。

「前例無し」を表現すれば軽く見られてしまうけど、「ものづくり」はそんな簡単なものではない。

「豆腐はこうでなければダメ」「豆腐屋はこうでなければダメ」

アホっくさ。

なんてね、深夜に少々調子乗っちゃって・・・・・

2 件のコメント:

Naomi さんのコメント...

こちらでもお豆腐はヴィーガンに大人気です。
豆乳専門店もできるほど。
この辺りでは、なくなっちゃいましたが、San Jose Tofu Companyが伝統があり、、、
https://kuboyumi.hatenadiary.org/entry/20171229/1514853567
Gombei Tofuなどが日系のスーパーで出ています。
https://kataokamaiko.com/1381.html
*リンクはそのお豆腐について書かれたブログサイトです。参考まで。
Gombeiはお弁当屋さんで、お豆腐だけの店舗で展開しているところはこの辺りではもう無いようです。

日本の(日本だけじゃないと思いますが、、、)メディアは自分たちの書いたシナリオ通りに発言させたり、
撮影したりするので、本当になんだか気分が悪くなりますよね。

と同時に、新しいものをうまく世に出して、知ってもらって新たな逸品を生み出すにはやっぱりメディアは必要とも思ってしまうし、、、

なかなか難しいものですね。

帰国の際にはなごり雪さんのお豆腐を食べてみたいなぁ。。。
いつ帰国できるやら。


なごり雪 さんのコメント...

Naomiさま
コメントありがとうございます。
さっそく拝見させていただきました。海の向こうの素晴らしい手仕事と、残念なその結末に涙腺が緩んでしまいました。当店の創業した43年前は、我が街にも50数軒あった豆腐屋も今では片手程度となり、組合も解散し、当時の「うるさい先輩」たちも皆鬼籍に入られてしまいました。もう豆腐屋で豆腐を買う時代は終わりなのかもしれません。八百屋さんや肉屋さん、魚屋さん、食料品店、金物屋さんなど、町内で事足りた店々ももう記憶の中だけです。ただ豆腐は製造販売でしたので、少しはその店の特色も出せたから命も永らえたのでしょう。とか言いながら、この仕事を楽しんでみます、やれるところまでは。(苦笑)

ボクが言いたかったことは「豆腐屋って、かっこいいんだぜ」ってことです。豆腐屋だって時代とともに変化しなければ新しい人材たちが夢を抱くことができません。(くれぐれも誤解をしてほしくはないのだが、あの表紙の豆腐屋さんがいけないわけではありません)ノスタルジーとは言え、豆腐製造業の未来を語る特集でアレは違うのではないかな。御主人の穴だらけのセーターに、同業としての悲しみと編集者に少々怒りを覚えてしまったのです。

こんな感じで・・・

これからもよろしくお願いします。